サイフォン式抽出

サイフォン式抽出は、珈琲を淹れるための手法の1つで、フラクション式抽出とも呼ばれます。

独特の外観とプロセスで知られ、珈琲愛好家に人気があります。

スッキリとした味わいや、香りが良く感じます。

以下に、サイフォン式抽出の基本的な手順を説明します。

※サイフォン上部:ロート

※サイフォン下部:フラスコ

【フィルター(濾過器)を準備します(初回、フィルター交換する度)】

  購入したての布フィルターはノリや、汚れが付いている場合があるため取り除きます。

  お湯を小鍋で沸かし、その中に布フィルターを入れ10分ほど煮ます。

  その際に珈琲粉の少し出涸らしを入れるとフィルターが珈琲に馴染みやすくなります。

  その後流水でよくすすぎ、水を絞ってから濾過器に取り付けます。

  布フィルターを濾過器の真ん中にセットし、フィルターについているタコ糸を絞っていきます。

  タコ糸をきつめに絞り濾過器と布フィルターが外れないように結びます。

  ここが緩いと沸騰した時に蒸気が抜けてしまう可能性があります。

  余ったタコ糸は邪魔になりますので短く切り落とし結び目を内側にしまい込んで準備完了です。

【ロートにフィルター(濾過器)をセットします】

  • 布フィルターに水気がある場合はある程度絞ります。

  • 濾過器にチェーンが付いていますので下に出るようにセットします。
    チェーンは沸騰石の役割をしており、チェーンに伝わる泡でお湯の沸き具合が確認できます。

  • 濾過器はロートの真ん中に来るように竹べら等で位置調整します。

【フラスコに水(お湯)を入れます】

   水の量は珈琲の量に合わせて調整します。

   私の場合は2人分で360ccのお湯を使います(マグカップ2杯分ほど)。

 水の場合は加熱時間が掛かります。

 水(お湯)を入れた後、サイフォン下部のガラスに水滴がついている場合拭き取ります。

 水滴がついている状態で加熱すると割れる原因になりますので注意してください。

【フラスコにロートを乗せます】

 ロートをフラスコにゆっくり差し込んでいきます。

 ロートは完全に差し込まず、フラスコの縁の部分(ゴムとガラスの境目)に寄り掛からせる程度に差し込んでおきます。

【フラスコを加熱します】

 今回はアルコールランプ使用

 アルコールランプを使用する場合の火力は、弱すぎるくらいが良いです。

 火の調節は芯が出ている長さで調節出来ます。

 大体フラスコに火が当たって広がりが1cmとかぐらいです。

【フラスコにロートを完全に差し込みます】

 ぽこぽことチェーンから泡が出始めたらロートを差し込みます。

 あまり強く押し込まなくても問題なく、軽くぎゅっと押し込むくらいで。

 お湯が蒸気へと変わり、内部の圧力が高まると逃げ場のない蒸気が液面を押し上げます。

 ロートの管を通ってロート上部にお湯が移動します。

【ロートに珈琲の粉を入れます】

  挽いた珈琲の量は、使用するサイフォンの容量と好みに応じて調整します。

  私の場合は2人分で26gの珈琲豆を使います。

 珈琲の粉を上部に入れるタイミングで味わいが変化します。

 (初めから粉をセットしている場合と、お湯が完全に上がった状態で粉を投入するのでは、お湯に触れている時間も変わってくるため。)

 私の場合はお湯が中ほどに上がってくるタイミングで粉を投入します。

 初めからセットされている場合は、酸味が感じやすい。

 お湯が完全に上がっている状態では甘味が感じやすい。

 それぞれ感じ方が変わってくるのもまた面白い。

【第一攪拌します】

  • ロートにお湯が上がり切ったら攪拌します。

    このときストップウォッチをスタートさせておきます。

  • 竹べら等で粉とお湯がよく混ざるように攪拌します。

  • ※うまく攪拌できると泡・粉・液体の3層に分かれます。

    (焙煎度によって泡の出方が変わったりします)

※私の場合は大体7秒ほど。

  ぐるぐるかき混ぜるだけではなく、上からお湯をフィルターに向かって投げるイメージと横回転しながら上に戻るイメージ。

  フィルターには竹べら等を当てないようにしてください。濁りの原因になったりします。

  溢れないよう注意してください。


  • 抽出に慣れてきたら

    フラスコにお湯がなくなりロートに移動したらアルコールランプを少しずらします。

  • 大体フラスコに火が当たって広がりが0.5cmとかぐらいです。

    そのままの火力だとボコボコと大きな気体がロート上がってきて攪拌が安定しにくいため。

  • 攪拌したらストップウォッチが35~40秒ほどになるまで待ちます。

※あまりずらしすぎると熱量が足りずにお湯が落ちてきてしまうので適度に。

 (下がってしまった液体をまた温めて上にあげると雑味を感じやすいです)


バックロート

  サイフォンで抽出するとき、一度フラスコ(下ボール)に落ちた珈琲液が、再びロート側に戻ってしまうこと。 

  雑味が出る原因とされ、サイフォン抽出においては厳禁とされる。

【第二攪拌します】

  • アルコールランプの火を消します。

  • 3層に分かれた泡・粉・液体を軽く混ぜるようにぐるぐる第二攪拌をします。

    時間にして大体2秒ほど。

    (長くてもロートに液体が残っている状態で攪拌を終えてください。)

  • 熱源がなくなると冷えはじめて蒸気が水に戻り始めます。

  • (気体から液体に変化すると体積が小さくなるので)フラスコ内にロートから珈琲液が引っ張られ(バキューム効果)フラスコ内に移動します。

  • しばらく待つとボコボコと泡が立ちます。

  • 収まったら抽出完了です。

サイフォン抽出後の珈琲ドームについて

 珈琲ドームとは、ロートの中に残った珈琲残滓がドーム状に残ったものをいいます。

 ドームが出来ていると上手く抽出されたという目安になります。

 ただ深煎りの場合は周りにへばりつく感じでうまくドームにはなりません。

 フィルターが目が詰まってくるとお湯の抜けが遅くなるのでドームになりにくかったり。

  私が下手なだけか…?


[考察]

 珈琲に関する本とか読んでいて思ったこと。

 3層に分かれている粉の層でも濾過が起こっているのではないか。

 泡部分にも珈琲の成分が残っているので、第二攪拌で液体に混ぜ珈琲の奥深さを持たせるのではないか。

   特に攪拌する理由とかが記述されていなかったり、そもそも本媒体が少ない。

【フラスコからロートを外します】

  • 上に引っ張るのではなく、ロートを前後に揺らしゴムパッキンの間から空気を入れます。

  • 何度か繰り返すと、そのまま外れるようになります。

【フラスコから珈琲を注ぎます】

そのままカップに注いだり、サーバーに受けたりして珈琲をお楽しみください。

今回はアイスコーヒー用で淹れたのでサーバーに氷を250ccほど用意しています。
お湯の量は210gで珈琲の粉は26gです。

この後には清掃が待っています。

サイフォン式抽出は、精巧なプロセスと視覚的な楽しみを提供する方法ですが、初めての方には少し練習が必要かもしれません。

しかし、美味しい珈琲を手軽に楽しむことができる方法の1つです。

淹れる作業は1分以内なのですが前準備と片付けに時間が掛かります。

私は楽しい一連の流れなので手間とは思わないですが、如何でしょうか?

抽出時間や、量はお好みで調整していただいて各人の味覚に合った味を目指して頑張りましょう。